霊泉居士

○霊泉居士(れいせんこじ)

 

 かつて凶暴な妖怪を手足のように従え、日本中を荒らしまわった伝説の妖術使い。邪法師であり、最後に現れた時は退魔師と組んだ妖怪たちに滅ぼされている。

 しかし、霊泉居士は転生の法を極めた怪物であり、滅ぼしてもしばらくすると、目を付けた肉体に宿って復活してしまう。いたちごっこだが、妖怪にとっても人間にとっても脅威になることは変わりなく、結局は妖怪か人間、あるいはその両方に、現れるたびに滅ぼされている。

 最初は人間として生まれたらしいし、復活する時も大体は人間の肉体に宿って復活するのだが、無理な妖術を自らに施したせいか、すでに人間ではないようなものになってしまっている。また、その肉体は不老不死という訳ではなく、普通の人間よりはゆっくりだが老いて死ぬこともある(大体は老衰死する前に滅ぼされるのだが)。

 この制限の解消を、転生するたびに霊泉は願ってきたが、今回伝説の「神虫」に転身した元・人間の妖怪、久慈瑠璃の存在を聞きつけ、神虫の不滅の生命と活力を保証する力を求めて、瑠璃の誘拐を企てる。瑠璃を少しずつ切り刻み、60日かけて全身を食し、その日に数千の鬼を平らげるという無敵の神毒と、不滅の永生の力を、自らの内に取り込むという邪法を企てている。

 性格的には、邪法に踏み込んだ時点でまっとうな生き方は諦めており、全てを捨てて習得した邪法で人間の世界の永遠の王者になることを夢見ている。こういう考えに至った原因としては、はるかな昔、政争に破れて皇位を継承しそこなった皇族だかららしいという噂がまことしやかに流れているが、誰もそれを確かめた者はいない。

 三熱・楽骸・紅寿という三体の妖怪を配下に引き連れている。

 

○三熱(さんねつ)

 元・霊泉の弟子で、倒した龍神の肉体を乗っ取ってわが物にし、神に近い妖怪の力を得た元・人間。

 赤い龍の肉体で、うろこの間から火を吹きだす。

 

○楽骸(らくがい)

 以津真出(いつまで)という死体が変化した妖怪。人の顔を持った怪鳥の姿をして、呪いをかけてくる。

 

○紅寿(こうじゅ)

 美しい女武者の姿をした妖怪。無数の殺生に使われた刀の化身であり、血を好む。本体は女武者の持つ刀。