プロットの立て方

 さて、ここでは、いわゆる「プロット」の作り方を解説していこうかと思います。

 

 プロットの作成が必要になる小説の長さですが、私の個人的な経験では、およそ2万字以上程度の長さの小説になると、プロットを立てた方がいいと思います。

 そのくらいの長さになると、頭で考えたことを一旦プロットの形で外部出力しないと、うっかり書くはずの要素を失念してしまったり、筋が混乱したりするかと思われます。

 

 

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プロットの作り方

 

1)まず、その小説の中心となるテーマ、もしくはモチーフ、あるいはその両方を決めます。

 

2)小説のジャンルを決めます。

  ファンタジーなのかホラーなのかSFなのかミステリなのか、あるいは日常系なのか、様々なジャンルが考えられます。

  表現したいテーマやモチーフに最もふさわしいジャンルを、熟考の上で選びましょう。

 

3)舞台設定を決めます。

  2と密接に絡んでいますが、ジャンルによって使用できる舞台設定は違います。

  現代ものならもちろん現代社会が舞台ですが、そこに独自の要素を入れることで個性が出せます(例えば人外が普通の人間に混じって暮らしている現代社会、など)。

  異世界舞台のファンタジーなら、その異世界を細かく設定する必要が出てくるので、かなり比重の大きな作業になります。

  異世界ファンタジーでも、いわゆる「テンプレ異世界」を使用するならだいぶ手間を省くことが可能かと思いますが、そうなると没個性的になるということでもありますので、埋もれたくなかったらなにがしかのオリジナル要素は加えた方がいいでしょう。

 

4)主人公はじめ、キャラクターを設定します。

  さて、大まかに世界が決まったところで、そこで活躍する中心人物たる主人公と、彼なり彼女の周囲の脇役たちを固めていく作業に入ります。

  場合によっては、3の舞台設定より先にこのキャラクターの設定が来る(このキャラクターをどうしても使いたいから、そいつにふさわしい舞台を用意する、という方向性の作り方)場合もあります。

  どちらにせよ、キャラクター設定は入念に。

  舞台世界に読者を引っ張り込める、パワーのある主人公を作りましょう。

 

5)主人公はじめキャラクターたちの目的を設定します。

  積極的にせよ消極的にせよ、主人公となるからには何らかの目的をもっているはずです。

  例えば「特定の物品なり人物なりを探す」「事件を解決する」「とにかく生き延びる」など、様々に考えられます。

  この主人公の目的に沿って物語が展開する訳ですから、これは丁寧に設定しましょう。

  主人公が目的に沿って行動する→その結果である事象が起きる、が、物語の芯になります。

  ここがあやふやだと、物語がぼやけて意味不明なものになってしまいます。

  とにかく、主人公の目的はしっかり設定しましょう。

  また、主人公の周囲を固める脇役も、この主人公の目的に絡んで、自分の目的をもっているはずです。

  主人公のサポートをしたいのか? 邪魔をしたいのか? そもそも、主人公の目的を知らないのか?

  キャラクターは目的に沿って動きます。

  主人公のみならず、周囲のキャラの目的設定もしっかりと。

 

6)物語の結末を決めます。

  主人公やその他のキャラクターたちの目的が、どのような結末を迎えるのかを決めます。

  いわば物語の目的地を設定するのです。

  目的を遂げるのか、それとも遂げられずに終わるのか。

  更には、目的と違っているけど満足な結果、あるいは目的自体は遂げても不本意な結果などのバリエーションも考えられます。

  読者様方にどんな読後感を持ってもらいたいか意識しながら、結末を設定します。

 

7)妨害や障害の要素を入れます。

  主人公の行動が結末へと向かう流れに対して、妨害や障害になるものの要素を入れます。

  主人公が目的に沿って行動する→それに対して妨害や障害が発生する、のが、ストーリーの本流になっていきます。

  これを設定する過程で、新たな敵役や、障害となる設定(自然の地形や、邪魔になるような装置や組織、舞台となる社会の情勢自体など)なども追加していきます。

  一部、3と4に戻って、作業を繰り返し、練り直す必要があるかも知れません。

  舞台となる世界に新たな要素や、立ちはだかる壁となる敵キャラなどを新たに加えなければいけない可能性があります。

  これを魅力的に描けるかどうかで、物語の厚みが違ってきますので、丁寧に設定します。

  読者様から見て敬意を払える敵役、克服することで主人公の株が上がるような課題を用意します。

 

8)ひねりを加えます。

  読者様方が意外性を感じる展開を用意します。

  敵だったと思ったら味方だった、あるいはその逆、読者様が普通に読まれただけではそう思い込む展開を、実は真実は違っていたと提示して驚かせるといったことが考えられます。

  ここでも7から3、4、5の要素に遡って設定を加える、いわゆる「伏線を張る」作業を行う可能性もあります。

  この時に気を付けるのは、「読者様の予想は裏切っても期待は裏切らない」ことでしょうか。

  驚かせるため、安易に読者様の信頼を裏切るような雑な展開にすると、以後読者様から書き手として信用されなくなります。

  細心の注意を払って、鮮やかな驚きを用意しましょう。

 

9)全体の要素を繋げ、破綻なく結末にたどり着けるように整えます。

  1~8までの要素を繋げ、キャラクターを行動させて、一つの物語の形として整えます。

  全体を一つの流れとして見て、流れに不自然すぎるところがないかどうか、伏線になっている要素はちゃんと張られているか、大まかな要素と流れを書き出してチェックします。

  この書き出したものが、「プロット」と呼ばれることになります。

 

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 以上、大まかですが、私なりのプロットの作り方でした。

 何かの参考になれば幸いです。